研究テーマ

高校生向け研究紹介サイトはこちら.研究紹介動画はこちら

現在のコンピュータにとって困難な問題を高速に解く量子アルゴリズムの設計
量子コンピュータの計算能力の高さは様々な側面から証明されており,例えばインターネット上で広く使われている暗号を解読してしまう程であることが知られています.このような量子コンピュータの高い計算能力を引き出すためには,量子コンピュータ特有の計算資源である量子重ね合わせ状態を利用した新しいアルゴリズムの設計が不可欠です.我々は,現在のコンピュータにとって困難な問題に対し,それを高速に解く量子コンピュータ上のアルゴリズムの設計を行っています.
  • 解説記事1:谷誠一郎, 高橋康博, 高速量子アルゴリズムの開発, 電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review, Vol. 14 No. 1, pp. 15-27, 2020.
  • 解説記事2:高橋康博, 量子回路と古典回路の相違, 日本オペレーションズ・リサーチ学会機関誌「オペレーションズ・リサーチ」, Vol. 63 No. 6, pp. 319-325, 2018.
量子コンピュータにとって困難な問題の明確化
量子コンピュータが高い計算能力をもつことは知られていますが,あらゆる問題が量子コンピュータによって高速に解けるとは考えられていません.量子コンピュータでさえ高速に解けない問題を明確にすること,すなわち,量子コンピュータの限界を明確にすることは,量子コンピュータの応用範囲を探る上で極めて重要です.また,このような限界に関する知見は,量子コンピュータでも解読できない新しい暗号の設計に繋がる可能性もあります.我々は,量子コンピュータの限界の明確化に挑戦しています.
ノイズ等の影響を受ける現実的な環境における量子コンピュータの計算能力の分析
量子コンピュータが我々の目の前に現れようとしていますが,現実的な環境に置かれた量子コンピュータは外界からのノイズの影響を大きく受けます.これにより,例えばアルゴリズムの出力が予期しないものとなってしまうという問題が知られています.従来設計されてきた量子アルゴリズムはノイズ存在下においてどのような影響を受けるのか,そしてノイズ存在下においても適切に動作するアルゴリズムとはどのようなものかを探ることは,実用上重要な問題です.我々は現実的な環境における量子コンピュータの計算能力の分析を行っています.